前倒しを決める前に見る5つの軸
私たちは、前倒しを決める前に5つの軸を見るようにしています。①勢いがあるか ②先に終わらせておくべき仕事が完走しているか ③やってみて危ないところが無いか見たか ④疲れの兆候が出ていないか ⑤一緒にやる人たちの足並みが揃っているか。この5つ全部が⭕のときだけ、前倒しを選びます。
「勢い」か「無理」かは、理由で見分ける
厄介なのは、勢いも無理も、外から見るとどちらも「進んでいる」ように見えることです。私たちが見ているのは、やれるかどうかではなく、なぜ急ぐのかです。動機が「もう少し頑張れる」「あと1段」「短期で得したい」になっているときは、たいてい無理のほうです。
もう少しで押し切った代償
実際に押し切ったことがあります。ある場面で「もう少し」を選んで30分を節約したところ、後日、立て直しに5時間かかりました。別の場面では、確認をひとつ飛ばして次の工程に進んだ結果、原因を追うのに4時間かかりました。どちらも、その場では崩れませんでした。崩れたのは2つ先の段でした。ある段で確かめるはずだったことを次の段に持ち越すと、その次の段で歪みが出ます。
未来の自分から時間を借りる構造
社内では、この現象をこう言い表しています。「もう少し」の誘惑は、未来の自分から時間を借りる構造だ、と。借りたものは利子つきで返ってきます。私たちの実測では、その利率は3〜10倍でした。短期で1日得したつもりが、長期では3日を失う計算です。
AIが速いことと、前倒しをしていいことは別の話
AIに任せると、1日の進み方そのものが変わります。
- だからこそ、前倒しの誘惑も強くなります。ですが、AIが速いことと、前倒しをしていいことは別の話です。
- 5つの軸は、「やめる理由を探す表」ではなく、やる前に1回だけ通す表です。毎回全部を書き出す必要はありません。迷ったときは、この5つに立ち戻ります。
よくある質問
前倒し自体がいけないのですか。
いいえ。5つの軸が揃っているときの前倒しは、勢いを活かす自然な動きです。問題にしているのは、軸を見ないまま急ぐことです。
5つの軸を毎回確認するのは大変です。
迷ったときに1回通す表として使っているだけで、毎回書き出してはいません。
AIを使うと前倒しをしやすくなりますか。
進み方が速くなる分、前倒しの誘惑は強くなります。ただし、速いことと前倒しをしていいことは別の判断です。
出典
- 本文の判断軸・代償の数値は、TEDIT社内の行動原則の記録に基づく自社の事例です。(2026-09-17 確認)