手が離せない時間は、1 日のほとんどです
受話器を取れば、施術が止まります。取らなければ、その予約は別の院に流れたかもしれません。どちらを選んでも、何かが減ります。ひとりで回している院ほど、この板挟みが毎日続きます。
施術で手がふさがっている時間は、営業時間のうちどれくらいでしょうか。ほとんど、という院が多いはずです。そして電話は、その時間を避けて鳴ってくれません。
手が止まるのは、予約の電話だけではありません。1 日を並べてみると、こうなります。
- 施術中に鳴る予約の電話 — 手技を中断して受話器へ向かい、戻ってからもう一度、患者さんの体に手を置き直します
- 予約の変更・キャンセルの電話 — 台帳を開いて書き換え、空いた枠をどうするかをその場で考えます
- 「回数券、あと何回でしたっけ」の確認 — 台帳をめくって数え、間違えていないかもう一度数えます
- 終業後の折り返し — 留守電に残っていた番号へ、相手が出るまで何度かかけ直します
- 前日の確認の連絡 — 出ていただけない方には、時間を変えてかけ直します
この記事は、予約の受け方を「先生の手が止まる回数」という一点で見直すための記事です。電話・Web 予約ページ・LINE 完結型の 3 つを並べますが、電話のままが向く院についても書きます。答えは最後に置きます。
逃しているのは、予約の数だけではありません
「電話に出られない = 予約を 1 件逃す」と考えがちですが、実際に減っているのは、患者さんが思い立った瞬間に予約できる機会のほうです。
- 夜に痛みが出た方 — 明日の朝までは、予約という形で気持ちを置いておけません
- 仕事帰りに思い立った方 — 受付時間が終わっていれば、その日は行動が止まります
- 急を要する方 — つながらなければ、次の院に電話をかけます
- 「電話をかけるほどでもない」と感じている方 — 症状が軽いうちほど、この一歩は重くなります
留守番電話にメッセージを残す方は、そう多くありません。折り返した頃には、別の予定が入っていることもあります。逃した件数として見えているのは、実際に起きていることの一部です。
もうひとつ、数えにくい損失があります。施術の中断です。手技の途中で意識が受付に向かえば、戻ってくるまでに時間がかかります。目の前の患者さんに向けていたはずの集中が、電話のたびに少しずつ削れていきます。
ですから、受付の見直しは「電話をなくすこと」ではありません。手が止まる回数を減らして、残った電話に落ち着いて出られるようにすることです。
予約の受け方は、大きく 3 通りです
受け方は 3 つに整理できます。費用も、患者さんの手間も、先生の手が止まる回数も変わります。
A: 電話で受ける(いまのまま)
- 費用: かかりません(いまの回線のまま)
- 患者さんの動き: 受付時間内に電話をかけて、口頭で日時を決めます
- 院側の動き: その場で手を止めて受話器を取り、台帳に書き込みます
- 強み: 症状の様子をその場で聞けます。急患かどうかの判断も、声のほうが速いことがあります
- 限界: 施術中・夜間・休診日は受けられません。かけ直しの手間も院側に残ります
B: Web の予約ページで受ける
- 費用: 予約システムの費用(製品により幅があります)
- 患者さんの動き: 予約ページを探して開き、名前と連絡先を入力します(初回は会員登録が必要な製品もあります)
- 院側の動き: 管理画面で予約状況を確認します
- 強み: 24 時間受け付けられます。院側の入力の手間も減ります
- 限界: 入力の途中でやめてしまう方が出ます。予約ページにもう一度たどり着く道を、院側で用意する必要があります
C: LINE の中で完結する形で受ける
- 費用: サービスの費用 + LINE 公式アカウントの費用 ※1
- 患者さんの動き: 友だち追加が一度だけ。あとはトークの中でメニューと日時を選びます
- 院側の動き: 管理画面で予約状況を確認します。前日の連絡は自動で送られる製品が多くあります
- 強み: 24 時間受け付けられて、予約も連絡も同じ場所に残ります
- 限界: LINE をお使いでない患者さんには届きません。院側で最初の設定と、患者さんへの告知が必要です
手が止まる回数で、3 つを比べる
同じ「予約を受ける」でも、実際に変わるのはこの 7 点です。
| A 電話 | B Web 予約ページ | C LINE 完結型 | |
|---|---|---|---|
| 受け付けられる時間 | 受付時間内 | 24 時間 | 24 時間 |
| 施術中に手が止まるか | 止まります | 止まりません | 止まりません |
| 患者さんの準備 | なし | 初回の入力・会員登録のことも | 友だち追加が一度だけ |
| 変更・キャンセル | 電話でのやりとり | 予約ページから | トークの中から |
| 前日の確認 | 手作業でかけ直し | 製品により対応 | 自動送信の製品が多い |
| 予約以外の連絡 | 電話・院内の掲示 | 別のツールが要ることも | 同じ公式アカウントから |
| 届かない方 | 受付時間に電話できない方 | Web の入力が負担な方 | LINE をお使いでない方 |
※ 各方式の一般的な特徴をまとめたもので、個別の製品の機能を断定するものではありません。導入前に各製品の公式サイトと個別のご説明で必ずご確認ください。
表だけを見ると C が良さそうに見えますが、そうとは限りません。受付の方が電話に出られる体制があるなら、無理に変える理由はありませんし、ホームページからの新規の方が多い院なら B のほうが素直につながることもあります。そして A は、どの院でも最後まで残ります。急なぎっくり腰のご連絡や症状の相談は、声のほうが速いからです。3 つは置き換えの関係ではなく、どの用件をどこで受けるかの割り振りだとお考えください。
接骨院・整体院には、歯科にはない事情があります
予約システムの記事は歯科向けのものが多いのですが、接骨院・整体院には固有の事情が 3 つあります。ここを見落とすと、入れたあとで運用が合いません。
回数券の残数管理
- 残数を、患者さんご自身が確認できるか — 確認できる形にすると、「あと何回でしたっけ」という質問そのものが減ります
- 有効期限の設計 — 前払いで販売する回数券は資金決済法の「前払式支払手段」に該当する場合があり、期限の決め方によっては届出などの義務が生じることがあります。個別のケースは、必ず専門家にご確認ください
- 数え間違いが起きたときに、どこを見れば分かるか — 紙の台帳は、間違えた場所を探すのに時間がかかります
保険施術と自費メニューの混在
- 保険施術と自費メニューを、予約メニューとして分けて設定できるか
- 施術時間の違う枠を、それぞれの長さで押さえられるか
- 回数券を自費メニューに紐づけて、区分して管理できるか
- レセプト(療養費請求)業務まで一緒にしたいのか、予約だけを切り出すのか
通う頻度が高いこと
歯科と違い、施術は 1 回で終わりません。初回で楽になった実感があっても、2 回目・3 回目につながらなければ、症状は戻ります。ここで効くのは、来院間隔に合わせて「そろそろいかがですか」とお伝えできるかどうかです。
ひとりで回す院ほど、構造で差が出ます
受付の方がいる院では、多少の不便は人が吸収できます。ひとりで回す院では、先生の手がそのまま受付です。だから、道具を選ぶときに見る点も変わります。
- 管理画面がスマートフォンだけで完結するか — パソコンを開く時間は、たいてい閉院後にしかありません
- 最初の設定を誰がやるか — 公式アカウントの開設や予約枠の設定まで代行してもらえるなら、院側の作業は確認だけで済みます
- やめたときに何が残るか — 積み上げてきた友だち(患者さんとのつながり)が院に残る形かどうかは、始める前に確認してください
- 最低利用期間と解約金の有無 — 合わなかったときにやめられるかどうかで、試す気軽さが変わります
- 予約以外の連絡も同じ場所でできるか — 臨時休業のお知らせのたびに別のツールを開くのは、続きません
電話のままでいい院も、あります
予約の仕組みを作っている立場で言うのも変ですが、すべての院に必要なものではありません。次のような場合は、急いで導入しなくてよいと思います。
こういう院では、効果が出にくいです
- 来院の多くが紹介や訪問で、患者さんご自身が日時を選ぶ場面の少ない院
- 患者さんの年齢層が高く、LINE をお使いでない方が大半を占める院(この場合は、留守電の案内文や折り返しの時間帯を決めるなど、電話の受け方の見直しが先です)
- 予約枠がすでにほぼ埋まっていて、新しい入口を増やす必要のない院
- 当面、設定や患者さんへの告知に時間をまったく取れない院
逆に「施術中に鳴る電話で、今日も手が止まった」「夜と休診日の問い合わせを、翌日折り返している」「回数券の残数を聞かれるたびに台帳をめくっている」——この 3 つのどれかに心当たりがあるなら、見直す価値があります。
答え合わせ — 私たちが作っているもの
冒頭の場面に戻ります。電話が鳴ったとき、先生の手は患者さんの背中の上にありました。
私たちの答えは、「手を止めるかどうかは、先生の気合いではなく、予約の受け口の構造で決まっている」です。受け口が電話しかない限り、施術中に鳴った電話は必ず手を止めます。受け口が別にあれば、その用件はそちらに着地します。
TEDIT では、上の C にあたる LINE 予約「アポマル」の接骨院・整体院版を作っています。宣伝になってしまうので、事実だけを、できないことも含めて書きます。
- 費用は初期 50,000 円・月額 5,000 円(税別)。最低利用期間はなく、月単位で解約できて解約金もかかりません
- 初期構築に、公式 LINE の構築・予約設定の構築・スタッフ向けの操作説明が含まれます。公式アカウントをお持ちでない場合は、開設から代行します
- いまお使いの公式 LINE にそのまま導入でき、友だち登録済みの患者さんは引き継がれます。ご利用をやめても、公式 LINE と友だちは院のお手元に残ります
- 予約は LINE トークの中で完結します。前日のリマインドと、来院間隔に合わせた再来のお知らせも送れます
- 回数券の残数は自動で管理し、患者さんご自身も LINE から確認できます
- 保険施術と自費メニューを分けて設定でき、回数券は自費メニューに紐づけて区分管理します
- 管理画面はスマートフォンだけで運用できます
- 院が管理画面に登録した情報だけを根拠に、AI が 24 時間お答えする案内機能があります。登録にないことは答えず、チャットへご案内します(メニューカードの自動添付は最大 3 枚)
- 申込から運用開始まで、標準的に約 2 週間です
アポマルができないこと
- レセコン・電子カルテ、療養費請求との連携はありません(予約データは CSV・PDF で書き出せます)
- 患者さんが LINE をお使いでない場合、この方法では予約できません。電話・窓口との併用が前提です
- 既存の予約データを自動で移行する仕組みはありません
- 公式 LINE のリッチメニューは、標準ではテンプレートデザインでのご提供です(オリジナルをご希望の場合は別途お見積りになります)
なお、LINE 公式アカウントの費用は院のご契約となり、配信数に応じて別途かかります ※1。総額でご検討ください。
比較検討の材料として、他社様の製品もあわせてご覧になることをおすすめします。そのうえで合いそうなら、デモで患者さん側の画面を実際に触っていただくのがいちばん早いです。「何回タップして予約が終わるか」は、説明を聞くより、指で数えたほうが早く分かります。
よくある質問
パソコンを持っていませんが、使えますか?
スマートフォンだけで運用できる設計の製品を選べば使えます。予約状況の確認も枠の調整も、日常の操作がスマートフォンで完結するかどうかを、デモのときに実際に触って確かめてください。アポマルは専用の機材を必要とせず、スマートフォンだけで日常運用ができます。
保険施術と自費メニューが混在していても使えますか?
予約メニューを保険施術と自費で分けて設定できる製品であれば使えます。あわせて、回数券を自費メニューに紐づけて区分管理できるかも見てください。アポマルはこの混在を前提に設計していますが、レセプト(療養費請求)業務には関与しません。既存のレセコンはそのままお使いいただく形になります。
LINE 公式アカウントを持っていません。開設から必要ですか?
開設から始めることになりますが、代行してもらえる製品もあります。アポマルの場合は、公式アカウントの開設・リッチメニューの設計・予約画面の接続までが初期構築に含まれます。すでにお持ちの場合は、そのアカウントに組み込むので、友だち登録済みの患者さんもそのまま引き継がれます。なお LINE 公式アカウントの費用は院のご契約となり、配信数に応じて別途かかります ※1。
予約システムを入れれば、電話は鳴らなくなりますか?
鳴らなくはなりません。減らせるのは「日時を決めるだけ」の定型の電話で、急なお痛みのご連絡や症状のご相談は電話に残ります。むしろ、その相談の電話に落ち着いて出られるようにするための見直しだとお考えください。目標は「電話をゼロにする」ではなく「施術中に鳴る電話を減らす」です。
出典