COLUMNAI導入

AI 導入で 3 件中 3 件、前提が間違っていた話

指示を出したのに、直った場所が間違っていた——そんな経験はないでしょうか。私たちの場合は、直った場所が間違っていたのではなく、指示そのものの前提が間違っていました。しかも、その日出した指示は 3 件とも、です。

執筆: TEDIT(アポマル・カイランマルの開発元)

指示に足した、1 つの言葉

ある日、私たちは指示の出し方を 1 つだけ変えました。足したのは次の 1 行です。

「わたしの前提を疑って、実物を読んでから決めて」

これだけです。作業の内容そのものは変えていません。変えたのは、AI に「言われたとおりにやる」のではなく「言っている側が間違っているかもしれない、という前提で見る」ことを許した、というところです。

3 件出して、3 件とも前提が外れていた

その日、私たちは 12 件の作業を並列で動かしていました。そのうち、この 1 行を添えて出した指示が 3 件あります。

結果は、3 件とも、こちらの前提のほうが間違っていました。AI は指示どおりに直すのではなく、まず実物を確認し、こちらの見立てが外れている箇所を自分で見つけて直しました。

もしこの 1 行が無ければ、どうなっていたか。私たちはそのまま指示どおりに進めていたはずです。つまり、直す必要のない場所を 3 か所直していたことになります。

「12 件のうち 3 件」ではない

ここで、言い方を 1 つ正確にしておきます。

「12 件のうち 3 件」と言うと、12 件全体に対する歩留まりのように聞こえます。そうではありません。正しくは、並列で 12 件動かしていた日に、前提を書いて出した 3 件が、3 件とも外れていた、ということです。

残りの 9 件にこの 1 行を足していたらどうだったか、そこは比べようがありません。数字を大きく見せたくて似た言い方をしないよう、私たち自身、書きながら気をつけました。

残りの前提は、正直わかりません

誠実に書きます。この日、1 行を足さずに出した指示の前提が正しかったかどうかは、記録に残っていません。

「3 件中 3 件」という数字だけが独り歩きすると、まるで自分たちの前提がいつも外れているかのように読めてしまいます。そうではなく、わかっているのは、この形で出した 3 件が 3 件とも外れていた、という事実だけです。それ以外の割合は、ここでは作りません。

発注側の前提が、いちばん検査されない

作業を頼む側は、自分の依頼が正しいという前提から出発しがちです。頼まれた側の作業は確認しても、頼んだ側の前提を確認する機会は、驚くほどありません。

「言うとおりにやって」ではなく、「わたしが間違っている可能性を先に見て」。この向きを 1 行加えるだけで、直さなくてよかったはずの場所を直さずに済みます。

ただし、先に言っておきたいことがあります。この 1 行を足すと、結果が返ってくるまでの時間は少し伸びます。前提を確認する分、作業が増えるからです。急いでいるときほど省略したくなりますが、それこそが、前提を検査しないまま進んでしまう入り口です。

よくある質問

時間が伸びるなら、毎回付けなくてもいいのでは?

その気持ちはわかります。ただ記録が示しているのは、この 1 行を足さなければ、直す必要のない場所を 3 か所直していた、という事実です。伸びる時間より、外れた前提のまま進んでしまうほうが、私たちには高くつきました。

残りの指示の前提はどうだったのですか?

そこは記録に残っておらず、正直にわかりません。わかっているのは、この日この形で出した 3 件が、3 件とも外れていたということだけです。

「12 件のうち 3 件」ではないのですか?

言い方としては違います。並列で 12 件動かしていた日に、前提を書いて出した 3 件が 3 件とも外れていた、というのが正確な言い方です。12 件全体の歩留まりを表す数字ではありません。

出典

  1. 本文の件数・日付は、TEDIT 社内の作業記録(2026-08-27)に基づく自社の事例です。(2026-09-17 確認)
気になることを、聞いてみてください→