回覧板は、3 つの仕事をしていました
回覧板は、おそらく日本でいちばん長く使われてきた「連絡ツール」です。特別な機械もいらず、電源も要らず、説明書もありません。それでも、当番の方からは「そろそろ何とかならないか」という声が出はじめています。
では、回覧板はなくすべきものでしょうか。この記事の結論は最後に置きます。まずは、この道具が何をしていたのかから見ていきます。
改めて分解すると、回覧板がやっていたことは 3 つあります。
- 届ける — 同じお知らせを、全員に
- 確認する — 判子という形で「見ました」の返事をもらう
- 記録に残す — どこまで回ったかが、一覧として残る
地味ですが、3 つ目までやる道具は多くありません。掲示板は「届ける」だけです。一斉メールも「届ける」だけで、読んだかどうかは分かりません。回覧板がこれだけ長く残ったのは、届けることと確認することが、1 つになっていたからです。
裏を返すと、デジタル化を考えるときに見るべきなのもここです。「送れます」だけの道具に替えると、確認と記録の 2 つを別の手作業で埋めることになります。
それでも、限界は出てきています
現場で聞く困りごとは、だいたいこの 5 つに集まります。
- 遅い — 一巡するのに数日から一週間。締切のある案内は、最後の方に届いたときには間に合いません
- 止まる — 留守や旅行で次に渡らないと、その先には届きません。しかもどこで止まったかは、戻ってこないと分かりません
- 読んだかは分からない — 判子が押してあっても、中身を読んだ証拠にはなりません
- 当番の負担 — 印刷、仕分け、配布。人数が増えるほど時間が積み上がります
- 災害の日に動かない — いちばん連絡が必要な日に、いちばん動かない道具になります
最後の 1 つが、いま多くの団体で話題になっている点です。平時の連絡手段と、有事の安否確認の手段が別々になっていると、いざという日に「使ったことのない仕組み」を使うことになります。
デジタルにする、4 つの選択肢
「回覧板をデジタルに」と言っても、やり方は 1 つではありません。大きく 4 通りあり、費用も、受け取る側の手間も変わります。
A. 一斉メール
費用はほぼかかりません。ただしメールアドレスを全員分あずかる必要があり、迷惑メールフォルダに入って気づかれないことがあります。返事の集計は手作業です。
B. グループ LINE / グループチャット
いちばん手軽です。ただし全員の連絡先が互いに見えること、雑談に公式のお知らせが埋もれること、辞めた方を外しにくいことが課題になります。「誰が読んで、誰が答えていないか」は、スタンプの数を人手で数えることになります。
C. 専用アプリ型のサービス
連絡網や安否確認の専用サービスです。機能は充実していて、たとえば震度に連動した自動発信や訓練配信のような、専用ならではの機能を持つ製品もあります。壁になるのは導入です。全員にアプリを入れてもらい、ID とパスワードを配り、使い方を説明する必要があります。
D. LINE 活用型のサービス
すでに全員のスマホに入っている LINE を受け取り口にして、名簿管理・配信・集計は専用の管理画面で行う型です。受け取る側は友だち追加が一度だけで済みます。当然、LINE をお使いでない方には届きません。
| A 一斉メール | B グループ LINE | C 専用アプリ型 | D LINE 活用型 | |
|---|---|---|---|---|
| 受け取る側の準備 | アドレス提出 | グループ参加 | アプリ導入 + ID 発行 | 友だち追加のみ |
| 届いたか | 分かりにくい | 埋もれやすい | 分かる | 分かる |
| 返事の集計 | 手作業 | 手作業 | 自動 | 自動 |
| メンバー同士の可視性 | 宛先の扱い次第 | 全員に見える | 製品による | 1 対 1 なら見えない |
| 名簿の管理 | 手元の表 | 手動で出し入れ | 管理画面 | 管理画面 |
※ 各方式の一般的な特徴をまとめたもので、個別の製品の機能を断定するものではありません。
大事なのは「デジタルにすること」ではなく「回すのをやめること」
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。
紙の回覧板の弱点は、紙であることではありません。順番に回す構造であることです。順番がある以上、どこかで止まれば、その先には届きません。一巡を待つ以上、速くもなりません。
一斉メールとグループ LINE は、この構造をすでに解いています。全員に同時に届くからです。一方で「誰が答えていないか」は解けていません。
そこまで解こうとすると、必要なのは 3 つそろった仕組みになります。名簿にもとづいて全員に同時に届き、返事がボタンで戻り、未回答の方だけが自動で一覧に残る。回覧板がやっていた 3 つの仕事(届ける・確認する・記録に残す)を、そのまま置き換える形です。
選ぶときに見る 4 点
- 受け取る側にお願いすることは、いくつあるか — アプリの導入、ID の発行、使い方の説明。この数がそのまま、導入が止まる確率になります
- 未回答の人が、名前で分かるか — 「既読 12」では、誰に声をかければよいか決まりません
- 名簿から外したら、配信が止まるか — 退会・退職された方に届き続ける状態は、あとから直すのが大変です
- 災害の日にも、同じ操作で使えるか — 平時に使っていない仕組みは、有事にも使えません
紙の回覧板が向いている場合もあります
デジタル化の道具を作っている立場で言うのも変ですが、すべての団体が今すぐ替えるべきだとは思いません。
- スマートフォンをお使いでない方が多数を占める地域
- 配布物や回収物など、現物を手渡す必要がある回覧
- 顔を合わせて様子を確認すること自体が、回覧の目的になっている場合
また、全員に組織支給の端末があるなら、専用アプリ型のサービスは良い選択です。端末が管理されている環境なら、アプリ導入の壁がそもそも立ちません。
答え合わせ — 私たちが作っているもの
冒頭の問いに戻ります。回覧板はなくすべきものか。
私たちの答えは「なくならない、形を変えるだけ」です。届ける・確認する・記録に残すという 3 つの仕事は、これからも必要です。変わるのは、それを紙で順番に回すのか、全員に同時に届けるのかという方法だけです。
TEDIT では、上の D にあたる連絡ツール「カイランマル」を作っています。名前は回覧板から取りました。「確認しました」の返事が必ず戻ってくる、あの確かさが良かったからです。宣伝になってしまうので、事実だけを書きます。
- 会社・団体と、はたらく人・会員をつなぐ連絡ツールです。ふだんの業務連絡と、災害時の安否確認を 1 つで行います
- 受け取る側の操作は、友だち追加が一度だけ。アプリのインストールも、ID の発行もありません
- 名簿はクラウドで管理し、LINE の友だち追加と連動します。部会・地区班ごとの配信もできます
- 出欠・安否はボタンで戻り、自動で一覧になります。未回答の方はお名前つきで残ります
- 資料はクラウド保管で、リンク切れしない URL が本文に付きます(1 件 10MB まで、PDF・画像)
- 自社運用プランは初期費用 0 円、〜100 名で月 5,000 円、〜300 名で月 10,000 円(税別)。30 日の無料トライアルつきで、契約の縛りはありません
できないことも先に書きます
- 震度に連動した自動発信、未回答者への自動再送、訓練配信は現時点では対応していません(手動での発信・再送になります)
- LINE 公式アカウントはお客様のご契約となり、配信数に応じた費用が別途かかります。導入前に総額でご試算をお出しします
- LINE をお使いでない方には届きません。移行期間は郵送との併用をおすすめしています
企業と、歯科医師会などの団体向けにご案内していますが、町内会・自治会でのご利用もご相談いただけます。
判子は押さなくていい。でも「見ました」は、ちゃんと戻ってくる。そういう回覧の形もあります。
よくある質問
町内会や自治会でも使えますか?
ご相談いただけます。カイランマルは企業と、歯科医師会などの団体向けにご案内していますが、名簿にもとづいて一人ひとりの LINE に届く仕組みは、町内会・自治会の回覧にもそのままお使いいただけます。ただし LINE をお使いでない方には届かないため、移行期間は紙との併用をおすすめしています。
グループ LINE で回覧の代わりにしていますが、乗り換えると何が変わりますか?
3 つ変わります。公式のお知らせが 1 対 1 で届くので雑談に埋もれないこと、「誰が読んで誰が答えていないか」が自動で一覧になること、退会された方を名簿から外すだけで配信が止まることです。会員同士は互いに見えなくなるため、連絡先が全員に見えている状態も解消されます。一方で、気軽に言葉を交わす場としてのグループ LINE には、これまでどおりの良さがあります。使い分けをおすすめしています。
LINE 公式アカウントの費用は別にかかりますか?
かかります。LINE 公式アカウントはお客様のご契約で、配信数に応じた費用です。コミュニケーションプランは月 200 通まで 0 円、それを超える場合はライトプラン(月額 5,000 円・税別、月 5,000 通)などの有料プランになります※1。カイランマルの費用とは別枠になるため、導入前に総額でご試算をお出ししています。
出典