COLUMN連絡網と安否確認

連絡網アプリを入れてもらえない問題 — 「アプリを増やさない」という解き方

稟議は通りました。契約もしました。管理画面の設定も終わりました。

執筆: TEDIT(アポマル・カイランマルの開発元)

導入が止まるのは、契約のあとです

ここまでは、たいてい順調です。止まるのは、そのあとです。

「全社員にアプリを入れてもらってください」「ID とパスワードを配ってください」「使い方を説明してください」。この 3 行が、導入の本当の入口でした。この記事では、その壁の正体と、壁そのものを立てない方法があることを書きます。答え合わせは最後に置きます。

社内連絡ツールや安否確認サービスの導入で、担当者の方が実際に手を動かすことになるのは、次のあたりです。

  • 全従業員に、個人のスマートフォンへアプリを入れてもらう
  • ID とパスワードを発行し、配り、忘れた方に再発行する
  • 使い方を説明する。説明会に来られなかった方に、もう一度説明する
  • 入社・退職のたびに、アカウントを作り、消す

どれも一つひとつは小さな作業です。ただ、全部が「相手にお願いする作業」である点が共通しています。そして、お願いは断られることがあります。「個人のスマホに会社のアプリを入れたくない」という声は、実際によく聞きます。強制すればいずれ入れてもらえますが、そこで生まれた小さな抵抗感は、いざ使ってほしい日まで残ります。

数字で見ると、こうなります

感覚の話に見えるかもしれませんが、調査にも同じ傾向が出ています。

社内にチャットツールを導入した企業への調査では、課題の上位に「使いこなせない人がいる」44.5%、「利用率が上がらない」33.0% が挙がっています※1。導入したことと、使われていることは別の話です。

安否確認の側にも似た数字があります。ある大手サービスが実施した全国規模の一斉訓練(1,921 社・702,114 名が参加)では、平均回答率は 81.4% でした※2。訓練に参加するほど意識の高い企業でも、およそ 2 割の返事が集まらないということです。

責めたい数字ではありません。むしろ自然な結果だと思います。年に一度しか触らない道具は、いざというときに使えない。それだけの話です。

4 つの型で整理する

連絡と安否確認の道具は、大きく 4 つの型に分かれます。

A. 専用アプリ型のサービス

安否確認に特化した製品群です。震度に連動した自動発信、未回答者への自動再送、訓練配信といった専用ならではの機能がそろっています。費用は初期 0〜約 16 万円、100 名規模の月額はおよそ 4,400〜22,000 円(中心帯 9,600〜15,000 円)※3。壁は導入で、アプリ配布・ID 管理・ログイン忘れへの対応が発生します。

B. ビジネスチャット型

平時の業務連絡が主目的で、安否確認は一斉投稿で代用する形です。集計は基本的に手作業になります。費用は 1 人あたりの ID 課金が主流で、調査した 10 社中 8 社が 1 人 330〜1,180 円/月でした※4。人が増えるほど費用も増えます。

C. メール一斉送信

追加費用がほとんどかからないのが利点です。ただし、迷惑メールフォルダに入って気づかれない問題が構造的に残ります。集計も手作業です。

D. LINE 活用型のサービス

受け取り口を、すでに全員のスマートフォンに入っている LINE にする型です。名簿管理・配信・集計は専用の管理画面で行い、受け取る側の操作は友だち追加が一度だけになります。当然、LINE をお使いでない方には届きません。

A 専用アプリ型B チャット型C メールD LINE 活用型
受け取る側の準備アプリ導入 + IDアプリ導入 + IDアドレス提出友だち追加のみ
100 名の月額目安約 4,400〜22,000 円※3約 33,000〜118,000 円※3ほぼ 0 円製品による
安否の自動集計×(手作業)×(手作業)製品による
震度連動の自動発信○(業界標準)××製品による
平時の業務連絡△(安否専用が中心)製品による

※ 各類型の一般的な傾向をまとめたもので、個別の製品の機能や価格を断定するものではありません。

専用アプリ型が向く会社もあります

先に正直なところを書きます。次のような会社では、専用アプリ型が良い選択です。

  • 全従業員に会社支給の端末がある — 端末が管理されていれば、アプリ配布の壁がそもそも立ちません
  • 震度連動の自動発信が要件になっている — 担当者が不在でも発動させる必要があるなら、譲れない機能です
  • 訓練配信を制度に組み込んでいる — 実施記録まで含めて管理したいなら、専用機能があるほうが確実です

これらが要件に入っているなら、この記事の後半は読み飛ばしていただいて構いません。

「アプリを増やさない」という解き方

壁を乗り越える方法を考える代わりに、壁を立てない方法もあります。社員の方が毎日ひらいているアプリを、そのまま受け取り口にするという考え方です。新しく入れてもらうものがなければ、配布も、ID の発行も、ログイン忘れも起きません。

このとき、たいてい 2 つ質問が出ます。

「グループチャットと何が違うのか」

公式の連絡だけが 1 対 1 で届き、メンバー同士は互いに見えない構造にできる点です。雑談に埋もれず、連絡先も互いに見えません。回答はボタンで戻り、未回答の方だけがお名前つきで一覧に残ります。「既読 12」を数える作業がなくなります。

「会社に個人の LINE を知られたくないのでは」

ここは設計で解く部分です。会社側に見えるのは表示名だけで、個人のアカウントや電話番号は渡りません。チャット機能をオフにして導入すれば、求められる返信はボタンだけになります。退職後は、ブロック一つで接点が切れます。

なお、この型にも弱点はあります。LINE をお使いでない方には届きません。それから、LINE 公式アカウントは会社側の契約になり、配信数に応じた費用が別途かかります。「月額◯円」だけを見て決めると、あとから総額が見えてきます。見積もりは必ず総額で取ってください。

選ぶときに見る 5 点

  • 受け取る側にお願いすることは、いくつあるか — 導入・ID 発行・説明会。この数が、そのまま導入が止まる確率になります
  • 人が増えたとき、費用はどう増えるか — 1 人ごとの課金か、人数帯での課金か。100 名を超えたあたりで差が開きます
  • 未回答の人が、名前で分かるか — 追いかける相手が特定できない集計は、集計とは呼べません
  • 平時にも使う道具か — 年に一度の訓練でしか触らない道具は、その一度も回答率が伸びません
  • 総額で見積もりが出るか — 本体の月額以外に、別契約の費用が乗る製品があります。最初から総額で聞いてください

答え合わせ — 私たちが作っているもの

TEDIT では、上の D にあたる連絡ツール「カイランマル」を作っています。平時の業務連絡と、有事の安否確認を 1 つで行う道具です。宣伝になってしまうので、事実だけを書きます。

  • 従業員の方の操作は、友だち追加が一度だけ。アプリのインストールも、ID の発行もありません
  • 会社に見えるのは表示名だけです。チャット機能はオフに設定して導入します
  • 名簿はクラウドで会社が一元管理し、LINE の友だち追加と連動します。名簿から外せば配信は止まります
  • 出欠・安否はボタンで戻り、自動で一覧になります。未回答の方はお名前つきで残ります
  • 自社運用プランは初期費用 0 円、〜100 名で月 5,000 円、〜300 名で月 10,000 円(税別)。LINE 公式アカウントの費用まで含めた総額でも、100 名なら月 10,000 円の想定です
  • 30 日の無料トライアルつきで、契約の縛りはありません。解約しても、LINE 公式アカウントと友だちはそのまま御社に残ります

なお、個人の LINE だけで通知から回答・集計まで完結する安否確認の専業サービスは、当社が調べた 15 社の中にはありませんでした※5。だから優れている、という話ではありません。専用アプリ型が積み上げてきた機能を、こちらは持っていないからです。

できないことも先に書きます

  • 震度に連動した自動発信、未回答者への自動再送、訓練配信は現時点では対応していません(手動での発信・再送になります)。これらは専用アプリ型の標準機能です
  • 家族の安否確認、GPS による位置情報の機能はありません
  • LINE 公式アカウントはお客様のご契約となり、配信数に応じた費用が別途かかります。導入前に総額でご試算をお出しします
  • 添付は 1 件 10MB まで(PDF・画像)。LINE をお使いでない方には届きません

比較検討の材料として、専用アプリ型の製品もあわせてご覧になることをおすすめします。そのうえで「アプリを増やさずに済ませたい」が要件の上位に来るなら、一度ご相談ください。

よくある質問

LINE には「LINE 安否確認」という機能があると聞きました。あれでは足りませんか?

目的が異なります。LINE 本体の安否確認は、震度 6 以上などの大規模な災害の発生時に表示され、利用者ご自身が自分の状況を自分の友だちに知らせるための個人向けの機能です。組織が名簿にもとづいて配信し、未回答の方を集計・記録する用途についての記載は、公式の説明には見当たりません※6。カイランマルは、会社・団体が名簿にもとづいて全員に配信し、組織として回答を集計・記録するためのツールです。

安否確認システムの導入は、法律上の義務ですか?

法律で直接義務付けられてはいません。ただし企業には労働契約法第 5 条にもとづく安全配慮義務があり、中小企業庁の「中小企業 BCP 策定運用指針」でも、従業員の安否確認は初動対応の基本とされています。義務かどうかより、実際に確認できる状態にあるかが問われる領域です。

従業員から「個人の LINE を会社に教えたくない」と言われそうです。

会社側に見えるのは表示名だけで、個人のアカウントや電話番号は渡りません。チャット機能はオフに設定して導入するため、求められるのはボタンでの回答だけです。退職後はブロック一つで接点が切れます。導入時には、そのまま配れる従業員向けの説明資料を同梱しています。

出典

  1. IT トレンド「ビジネスチャットのデメリットとは」掲載の導入企業調査2026-08-03 確認)
  2. 安否確認サービス大手 1 社の「全国一斉安否確認訓練 2024」レポート(1,921 社・702,114 名参加)2026-08-03 確認)
  3. 安否確認システム 15 社・社内連絡ツール 10 社の公式ページ掲載価格を当社で確認した集計。価格を公開していない製品もあり、各製品の実際の費用を断定するものではありません2026-08-03 確認)
  4. 社内連絡ツール 10 社の公式価格調査(当社調べ)2026-08-03 確認)
  5. 安否確認サービス 15 社の公式ページ調査(当社調べ)2026-08-03 確認)
  6. LINE 安否確認について — LINE ヤフー公式ヘルプ / LINE みんなの使い方ガイド(震度 6 以上などの大規模な災害の発生時に表示される、利用者本人が自分の状況を友だちに知らせるための機能。組織が名簿にもとづいて配信し未回答者を集計する用途についての記載は、公式の説明には見当たりません)2026-08-09 確認)